トキ

[ トキ ]

解説

コウノトリ目トキ科の鳥類。学名をニッポニア・ニッポンといい、全長は約75cm、翼を広げると約160cmになる大型の水鳥である。頭部は赤色、羽は白色だが、羽を広げたときに、羽の下面が桃橙色(いわゆるトキ色)を呈する。
 過去にはアジア北東部に広く分布していたが、今では野生個体群は中国の一部に残るのみとなった。日本では、江戸時代までは北海道から九州にかけて分布していたが、1981年に佐渡島に残った5羽が飼育下繁殖のため捕獲され、野生のものはいなくなった。減少要因は生息環境の消失・悪化、狩猟、農薬汚染などが考えられている。
 現在は新潟県佐渡市の「佐渡トキ保護センター」で人工繁殖が行われている。なお、同センターで飼育されていた、日本産トキの最後の1羽となった「キン」は2003年10月10日に死亡。2006年12月現在、同センターには中国から寄贈された「友友」・「洋洋」など成鳥79羽とヒナ18羽の合計97羽が飼育されている。また、佐渡においてトキの野生復帰を実現するため、環境省は新潟県と協力して、採餌、営巣、育雛、繁殖、飛行、天敵回避等の訓練を行うための施設(順化訓練施設)の建設に着手した(2004年)。
 1934年に天然記念物、1952年に特別天然記念物、1993年に国内希少野生動植物種にそれぞれ指定。環境省のレッドデータブックでは野生絶滅(EW)。

詳細解説

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