バイオパイラシー
[ バイオパイラシー ]
生物資源を巡る盗賊行為のこと。
インドの女性科学者バンダナ・シバなどが主張しているような先進国による途上国(生物資源の原産国)に対する新たな侵略行為をさす。つまり、先進国の多国籍企業などは、途上国住民の永年の伝統的生活により保全・利用されてきた豊かな生物資源(生物多様性)を利用し、バイオテクノロジーにより食料や医薬品など商品開発をして莫大な利益を上げている。それにもかかわらず、途上国にはその利益の公平な配分・還元や技術移転などがなく、生物資源の盗賊行為に等しいというもの。このような先進国などの姿勢を生物帝国主義と呼ぶこともある。
生物多様性条約策定の段階でも、南北対立問題の一つとなり、成立した条約では、遺伝子資源へのアクセスとその利用から生じる利益の公正・衡平な配分(ABS)が条約の目的の一つとして位置づけられた。また条文にも途上国など「原産国」の権利や先進国から途上国への資金援助、技術移転などの項目が盛り込まれた。
なお、アメリカ合衆国はこれら資金援助や技術移転が無制限になる可能性があり、その歯止めとしての知的所有権の保護も十分ではないとして、生物多様性条約を未だ(2005年2月現在)批准していない。