仮想水

[ バーチャル・ウォーター ]

解説

農産物や工業製品を生産するのに必要な水の量を、その製品の購入者が間接的に消費したとする考え方。1990年代以降注目を集め始めている。
東京大学の沖大幹助教授らの推計によると、日本は食糧輸入によって年間約640億トン(琵琶湖の貯水量の約2.5倍)のバーチャル・ウォーターを輸入しており、国内での年間総水資源使用量約900億トンのほかに、その3分の2に相当する水を海外に頼っていることになる。日本ではこれらのデータを元に水自給率の上昇を求める論議が盛んである。しかし、元来は逆の立場から議論が始まった。ロンドン大学のアンソニー・アラン(J. Anthony Allan)教授は「水資源の地域的な偏りは、食糧の輸出入を媒体とする地域間の移動により緩和することが可能である」との仮説を提唱した。この論議によると、日本は多くの農産物を輸入しているが、それを仮に国内で栽培しようとすると多くの水=仮想水が必要となる。つまり、農産物の輸入により日本は水資源を節約できたことになり、そのかわり輸出国では栽培のために水が消費されたことになる。

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