企業の社会的責任
[ キギョウノシャカイテキセキニン ]
企業は社会的な存在であり、自社の利益、経済合理性を追求するだけではなく、ステークホルダー(利害関係者)全体の利益を考えて行動するべきであるとの考え方であり、環境保護のみならず、行動法令の遵守、人権擁護、消費者保護などの分野についても責任を有するとされている。この背景には、「マルチ・ステークホルダー・エコノミー」と呼ぶべき新たな時代の到来がある。最近は、大企業のみならず、市場拡大を目指す事業者や地場産品等の高付加価値化を狙う地域にもこのような動きが拡大しており、「CSR(企業の社会的責任)報告書」等を作成する事業者も増えてきている。
このような意識の高まりを受けて、EU理事会は、平成14年7月、「企業の社会的責任:持続的な発展への企業貢献」という報告を出し、EUの積極的な姿勢を表明するとともに、企業のCSRに関わる情報公開や監査等についての具体的指針を示した。また、ISOは、CSRの国際規格化について検討し、第1世代の「品質」(ISO9000)、第2世代の「環境」(ISO14001)に続いて、第3世代のマネジメントを「企業の社会的責任」と位置づけ規格化への作業が進められている。
なお、平成13年の内閣府の調査では、企業の社会的役割として回答者の66%が「環境保護」を挙げており、今後企業が社会的信用を得るために力を入れるべきものとして71%が「環境保護」を挙げていることが注目される。