【国立環境研究所】2005.11.08 発表
独立行政法人国立環境研究所の谷本浩志主任研究員が、気象研究所、農業環境技術研究所、九州大学、海洋開発研究機構と行った共同研究で、日本周辺の地表オゾンの季節変化に緯度によって違いがあること、アジア大陸から日本への越境大気汚染物質の長距離輸送メカニズムがその違いに影響を与えていることが明らかにされた。
この研究は、酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)と全球大気監視プログラム (WMO/GAW) の観測データの中から日本とアジア大陸の間の7地点の98年から03年までのデータを統合し、オゾン濃度の季節変化とその緯度による違いを調べるとともに、国立環境研究所と九州大学が共同開発したコンピュータモデルを使って、アジア大陸から日本に流入してくるオゾン濃度が日本のオゾン濃度に与える影響を定量的に求めたもの。
結果としては、オゾンの生成位置とその輸送の経路・効率の違いが、春季にオゾン濃度が年最大となる際に、緯度による濃度の時間的・空間的ずれをもたらしていることとともに、春季にアジア大陸から日本に運ばれてくるオゾン濃度がすでに、日本の環境基準である60ppb(注1)を超えていること、うち中国・韓国など東アジア諸国で排出される窒素酸化物を起源とするオゾン(注2)が5~20ppb分のオゾン増加をもたらしていることが示されている。
(注1)オゾンは光化学スモッグの指標とされている光化学オキシダント(OX)の主成分であり、光化学オキシダントの環境基準は1時間値0.06ppm(=60ppb)以下。
(注2)大気中の二酸化窒素が太陽の紫外線を受けて光化学反応を起こし、一酸化窒素と原子状酸素に分解されると、この原子状酸素と大気中の酸素分子が結合してオゾンが生成される。【国立環境研究所】
http://www.env.go.jp/earth/nies_press/eaap_ozone/index.html
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