【文部科学省】2007.03.02 発表
「カルタヘナ法」にもとづく適切な措置をとらずに、遺伝子組換えマウスを運搬し、マウスの一部を一時的に逃亡させたとして、文部科学省は平成19年3月2日までに、(財)実験動物中央研究所に対し、文書で厳重注意を行った。
同研究所は19年1月23日、輸出する組換えマウス40匹を5匹ずつ8つの動物輸送箱に入れ、成田空港に運搬したが、飛行機に積み込む24日までに、輸送箱が食い破られ、マウス1匹が逃亡。最終的にこの1匹は箱を置いていた動物室内で捕獲されたものの、他の39匹とともに、研究所に戻された上で殺処分された。
実験動物中央研究所が文部科学省の求めに応じて作成した原因と再発防止策に関する報告によると、逃亡を可能にした要因は、本来、組換えマウスの輸出に使用する動物輸送箱の上面に設置の必要がある金網状の内蓋が設けられていなかったため。
内蓋が設置されなかった理由は、(1)動物輸送箱の組立現場で作業手順書が十分に活用されていなかった、(2)作業手順書がミスを防ぐのに効果的なチェックリスト形式になっていなかった、(3)内蓋が設置されているかどうか外部から確認することが困難だった、(4)組立作業に対する教育訓練が不十分だった−−などの理由が重なり、内蓋を設置する必要性があること自体、作業員に忘れられていたからだという。
またこれらの原因を踏まえた、再発防止策としては、(一)作業手順書に各工程ごとにチェックシートを設けること、(二)作業工程を複数人で行い相互監視の下で作業を進めること、(三)内蓋の設置を必要としない、上面に金網を貼り付けた動物輸送箱を採用すること、(四)所内関係者に定期的に教育訓練を行うこと−−などの内容が示されていた。
報告を受けた文部科学省は、独自調査により、マウス40匹が全て回収されていることや、生物多様性やヒトへの安全性に影響がないと考えられることを確認したとしているが、実験動物中央研究所に対しては、厳重注意ともに、再発防止策の履行状況を一定期間、報告するよう要請した。【文部科学省】
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